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姉は全ての状況と殆どの能力を失い、地に落ちた。
弟は気が触れ縁者を斬り伏せ、人の道から外れた。

どこからどこまで夢の中かも分からない、僅かな安寧の中、傷を舐め合い這い蹲る。
これは哀れな姉弟のものがたり。
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(※タッチの差でチキレに破れましたil||li _| ̄|○ il||li 以下、破れた分の補足です。とほほ。)

この島にいる冒険者(殺戮者と言い換えた方が良いのだろうか)、それらは人種、性別、出自を問わずに存在しているようだった。そもそも生命活動をしているかどうか怪しいものから、有機生命体でない者までいる。私が―――正確には私の本体が以前冒険をしていた島よりも遙かにバリエーションは多彩だった。

つまり、私達を殺しにくる輩の殺害手段も多彩だということだ。

シュガはそんな島の様子を感じ取っているのか、武器の手入れに余念がなかった。狂ってはいても、身体が覚えているのだろう。剣士のサガ、というやつなのだろうか。
刀剣によって狂い、それでも刀剣で戦い、刀剣を忘れられない、可哀想な私の弟。

そっと弟の背に寄りかかり、相変わらず赤い空を見上げた。
相変わらず真っ黒な海鳥が鳴き、殺戮者たちを呪っていた。



「もう嫌と泣くならば、倒れてしまいなさいな。ごゆっくり。」



闘った夢魔の声が、今も頭に残っている。
そう、もう嫌だ、もう嫌でたまらないはずなのに、涙が止まらないのに。
戦いになると私の血は滾り、燃焼に従事した。

殺られる前に殺るとか。
身を守るために仕方ないとか。
戦いはいつも空しいとか。
或いは、殺すのが楽しくて仕方ないとか。

そんな逃げ口上じみた感覚もなく、ただただ―――炎の力を振るった。
もちろん本体のような力はない。弟の補助や術じみた僅かなそれを呼び起こすだけ。
息を吸うように、生活をするように、あたりまえのように。

いつか還れると信じて足掻いていたのに、いつから足掻き方を間違えたのだろう。
倒れてしまいたいはずなのに、それは欺瞞だったのか。
いつまで続くのか、この闘いは。


―――赤い天空から、ぽつりぽつりと雨が降ってきた。
雨粒は赤くないけれど、周りの景色と相まって赤く見えた。
これは血の色か、炎の色か。それとも、私の色なのか……。

放っておくと雨に濡れても剣の手入れをしていそうなシュガを促し、私は彼の手を取って歩き出した。
行き先などは分からない。還る場所も分からない……
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