姉は全ての状況と殆どの能力を失い、地に落ちた。
弟は気が触れ縁者を斬り伏せ、人の道から外れた。
どこからどこまで夢の中かも分からない、僅かな安寧の中、傷を舐め合い這い蹲る。
これは哀れな姉弟のものがたり。
弟は気が触れ縁者を斬り伏せ、人の道から外れた。
どこからどこまで夢の中かも分からない、僅かな安寧の中、傷を舐め合い這い蹲る。
これは哀れな姉弟のものがたり。
すごいいきおいで かべにかこまれている_ この島
島じゃなくて、井戸のそこみたいだ思った ただしそらのみえない 井戸のそこ
たかいたかいかべにかこまれて日の光はとどかないはずなのになぜか
ころしあいのじょうきょうはよく見えて た
島じゃなくて、井戸のそこみたいだ思った ただしそらのみえない 井戸のそこ
たかいたかいかべにかこまれて日の光はとどかないはずなのになぜか
ころしあいのじょうきょうはよく見えて た
クルツが、お姉をへんな目でみていやがる
いやぁな目でみていやがる あの目がりょうほうあったらすぐにえぐってやるものを
お姉がなかよくしろていうから、きゅうけいするときだけはそうしてやっているけど
あいつはぜったいにおれを殺そうとしているうえにお姉をひとりじめしようとしてい
るのはわかってるんだくそったれが
ころしにこられないのはあいつがよわいからだおれが怖いからだそうだそうにちがいない
うでのなかのお姉にそうだよなと聞いたら、めをふせたままでなにもいわなかったけど、お姉もきっとそうだと
お姉がへんなことをきいてきたそういえば何であたりまえのことを
ウチの名前をいってごらんていう
て聞くから
シュリお姉 てこたえたら、
寂しそうにうすく笑っていた
それからゆるゆるせまってくる壁を見上げて また泣いていた
わらったままで
ちがうんやけどな とか言って
何がちがうのか おれにはわからなかった
なんでいつもさびしそうに笑うんだろう
なんでむかしみたいに笑ってくんないんだろう
こんなに好きなのに
こんなに
こんな あたまが
いたい
いたいのに眠い
ねむい
ね む … …
… …
…………
……何時からだったか、気付いていた。
ここに居る己(おれ)は、俺であっておれでない。
ある事件を境にそこを次元分岐点にして、己の路は二つに分かれたのだ。
そもそも人の「路」というものは、ちょっとした事で変わってしまったり、大層なことでもさして変化がなかったりする。
つまりは「if」の分岐が大量に存在するわけだが、違う分岐を行った者がそれを自覚できるなどということはまず滅多にないだろう。ましてや別の分岐を『見る』ことなどは。
だが、己は見ている。
赤い大地、岩盤に閉ざされた天空、殺し合い、生き延びる殺戮者達。
腕の中で眠る姉に――― 俺の居る分岐では存在し無い、幻の弟を。
時折狂気から己は醒める。
醒めるというのか、本来の時の流れの自分と意識が絡み合うというか。
おそらくだが、本来の己はこの赤い島の出来事を夢だと知覚するのだろう。
まともな思考が働いている僅かな間でも、己は己に出来ることをしなければいけない。
己は姉を助けたい。
そして。
こちらには存在し得ない弟、クルツ、お前も。
いやぁな目でみていやがる あの目がりょうほうあったらすぐにえぐってやるものを
お姉がなかよくしろていうから、きゅうけいするときだけはそうしてやっているけど
あいつはぜったいにおれを殺そうとしているうえにお姉をひとりじめしようとしてい
るのはわかってるんだくそったれが
ころしにこられないのはあいつがよわいからだおれが怖いからだそうだそうにちがいない
うでのなかのお姉にそうだよなと聞いたら、めをふせたままでなにもいわなかったけど、お姉もきっとそうだと
お姉がへんなことをきいてきたそういえば何であたりまえのことを
ウチの名前をいってごらんていう
て聞くから
シュリお姉 てこたえたら、
寂しそうにうすく笑っていた
それからゆるゆるせまってくる壁を見上げて また泣いていた
わらったままで
ちがうんやけどな とか言って
何がちがうのか おれにはわからなかった
なんでいつもさびしそうに笑うんだろう
なんでむかしみたいに笑ってくんないんだろう
こんなに好きなのに
こんなに
こんな あたまが
いたい
いたいのに眠い
ねむい
ね む … …
… …
…………
……何時からだったか、気付いていた。
ここに居る己(おれ)は、俺であっておれでない。
ある事件を境にそこを次元分岐点にして、己の路は二つに分かれたのだ。
そもそも人の「路」というものは、ちょっとした事で変わってしまったり、大層なことでもさして変化がなかったりする。
つまりは「if」の分岐が大量に存在するわけだが、違う分岐を行った者がそれを自覚できるなどということはまず滅多にないだろう。ましてや別の分岐を『見る』ことなどは。
だが、己は見ている。
赤い大地、岩盤に閉ざされた天空、殺し合い、生き延びる殺戮者達。
腕の中で眠る姉に――― 俺の居る分岐では存在し無い、幻の弟を。
時折狂気から己は醒める。
醒めるというのか、本来の時の流れの自分と意識が絡み合うというか。
おそらくだが、本来の己はこの赤い島の出来事を夢だと知覚するのだろう。
まともな思考が働いている僅かな間でも、己は己に出来ることをしなければいけない。
己は姉を助けたい。
そして。
こちらには存在し得ない弟、クルツ、お前も。
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